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東京生まれ東京育ちの都会っ子が、福井県に移住して、日本の地方・経済・生き方を考えるブログ

転職16回! ある「変わった」女性の人生から考える、これからの生き方

 突然ですが、福井県の丹南エリアに生息する、とある変わった女性のことをみなさんはご存知でしょうか。この女性の名は「見延えり」。綺麗な容姿からは想像できませんが、彼女はかなり変わっています。

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写真:自身の人生を自然体で語ってくれる見延えりさん

 

 

 

 彼女の今までの転職回数は合計16回。ホテル、パティシエ、カフェ、雑貨屋、靴屋、服屋、レストラン、印刷屋、スポーツジムなど、履歴書には書ききれないほど数々の職歴をもっています。そこから現在はオーガニックのものなどを提供する古民家カフェ、ベビーマッサージ教室、チャイルドマッサージ教室、赤ちゃんのサイン教室、数秘リーディング、タッチカラーリーディング、手作りコスメワークショップ、パン教室などなど、ほとんどの人は聞いても「もはや何のことかわからない」ことを数々手がけながら、子育て支援団体である一般社団法人リフォメーションの理事も務め、自身も二人の子供を育てる得体の知れない女性なのです。

 

 私はあるご縁から彼女と知り合い、彼女の個性的な生き方の話を聞かせていただく中で、この時代のわたしたちの生き方、そして社会の在り方を考える上で大切な何かが見えてきました。今回はそれを書いていきたいと思います。

 

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写真:古民家カフェ準備中の様子

 

 

 見延さんの生まれは福井県鯖江市河和田町、3人姉妹の次女として誕生します。とにかく小さい頃から「変わってるね」「個性的だね」と言われ続け、人と同じことができない、したくない、そんな子供だったそうです。自立心が人十倍強く、幼少期から「自立したい」と思っていたほどの変わった子だったそうですが、保守的な考えの両親のもとで思うようにできずに歯がゆい思いもしながら育っていきます。一方で、活発な姉や妹とは違って体が非常に弱く病気がちでうまく眠れない、食べることも苦手で「私はきっと20歳まで生きられない」と自分で思うほどだったそうです。

 

 その後は中学・高校を無事卒業し、小学校の頃からお菓子作りが好きだった彼女はパティシエ養成の専門学校へと進みます。しかし自分にとって「これだ!」という生き方が見つからないまま、卒業後はあるべき自分を探し求めて苦しみながら、冒頭に書いた通りの職を転々としていくことになります。

 

 そんな彼女の一つ目の転機は結婚後に子供を出産したことでした。その子は自分に似て体が非常に弱く、3歳までに5回も入院するほど病院にかかってばかり。さらにその後産まれた二人目の子供はさらに病弱で、生後1カ月で風邪をこじらせて医者から「今夜が峠です」と言われるほど。子供二人ともが入院しながら迎えたクリスマスもあったそうです。

 

 病院での治療だけでは根本的な解決にならないと感じ始めた彼女はその子の根本的な体質改善を模索し始め、「自然治癒」に取り組んでいる人に出会い、そこから

「子供のこころやからだにとって、何か少しでも良いことをしてあげたい」

と強く思うようになっていきます。そして、子供が口にするものや身につけるものについて、からだにとって自然なもの、良いものにこだわっていくようになります。また、言葉を話せない赤ちゃんの気持ちを汲み取る「赤ちゃんのサイン」ということを学び始め、さらにそれを教え広めていく活動をするようになります。

 

 そのような中で、あるお客さんから子育て支援のための一般社団法人の立ち上げに誘われ、加わることになります。これが彼女の人生最大の転機へと繋がっていきます。彼女はこの団体の活動の中で、「数秘リーディング」(カバラ数秘術)というものに出会います。これは、その人の生年月日と氏名からその人が生まれ持つ「運命数」を導き出し、その数字からその人が持つ資質や人生の流れ・周期を知ることができる方法です。このように書くと初めて聞く人は「怪しい占い」と思うかもしれませんが、これは古代ユダヤの神秘思想に由来し統計学的な意味をもつものなのだそうです。

 

 例えば彼女がもつ数字には1,8,9が非常に多く存在し、それぞれ

1:独立自立、新しいことを始める

8:組織をまとめる、豊かさの象徴

9:全ての数字を含む高い次元の数字、許す、人助けの数字

という性質があり、こういった意味をもつ数字の組み合わせからその人の資質や周期が読み解かれます。

 

 初めて自分の数秘を見てもらった彼女の第一声は

「え?全然違います!これは私じゃない!!そんな訳ない!!」

と数秘リーディングしてくれた方を困らせるくらい否定しきるほどで、それほど彼女が今まで「あろうとした姿」と「自分の資質、自分らしさとして示された結果」は正反対のものだったとのことです。しかし否定したい気持ちはありつつも、それからその想定外の結果が頭から消えず意識するようになり、段々と

「私は今まで本来の自分とは正反対の自分を生きていて、自分を認めていないから反発して、苦しかった。こんな私でいいんだ!やりたいことやっていいんだ!人と同じでなくていいんだ!」

と思えるようになっていきます。彼女はこれをきっかけに、他の人ではない「自分らしさ」を否定せず受け入れることができるようになったのです。「それからすごく楽になった」と彼女は言います。

 

 その後「らしい」自分を大切にできるようになり「らく」になった彼女は、今まで否定していた自分らしいことにどんどん取り組み始めます。冒頭にも書いたオーガニックのものなどを提供する古民家カフェ、ベビーマッサージ教室、チャイルドマッサージ教室、赤ちゃんのサイン教室、数秘リーディング、タッチカラーリーディング、手作りコスメワークショップ、パン教室といった、現在の多様な活動に繋がっていきます。

 

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写真:見延さんの周りに集まる子供たち

 

 

 そしてこれら全ての活動は一見別々のものに見えますが、実はこのような人生を送ってきた彼女だからこその一貫した共通の軸があります。それは、「らしく、らくに」ということです。見延さんが取り組む前述の活動は全て、赤ちゃんのサイン教室やリーディングのように「こころをらしく、らくにする」ためのものか、オーガニックの食品やコスメ、マッサージなどの「からだをらしく、らくにする」ためのもののどちらかなのです。

 

 見延さんは下記のように話してくれました。

「こころにもからだにも無理がなく、できる限り自然に、楽にいる状態が大切です。こころとからだはつながっています。どちらかがだめだと、もう一方も辛くなってしまいます。」

「自分らしく生きられるかは周りからの影響が大きくて、抑圧されてしまうことがあるから、私は子供たちには自分らしく生きてほしくて、その子の個性を尊重したい。」

そんな彼女の病弱だった子供たちは、からだに触れるもの、食べるものをなるべく自然なものにして、その子らしいこころを大切にしていった結果、現在はほとんど病院にかかることもないほど丈夫に元気に育っているそうです。

 

 そして最近の見延さんは、鯖江上野田町に古民家カフェ&教室「ラシーク」の準備に大忙しで、先日9月23日に無事オープンとなりました。私も取材を兼ねて少しだけオープン前にお手伝いをしてきましたが、らしく、らくに生きる自然体な彼女を応援する多くの人たちが手伝いに集まっていて、みんながらしく、らくに過ごせる素敵な空間が着々と作られていっていました。

 

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写真:見延さんに共感し、手伝う人たち

 

 

 彼女の生き方は確かにだいぶ「変わっている」かもしれません。しかし、現在わたしたちが常日頃求められがちな「変わっていない」生き方がむしろ画一的過ぎて、わたしたちらしさを出せずに苦しくなってしまっているのかもしれません。彼女の場合はたまたま数秘リーディングというものをきっかけに無理をしていた自分に気づき、らしく、らくに生きられるようになりましたが、みなさんはいかがでしょうか。

 

 わたしたちが持つ様々な個性。それ自体に良いも悪いもなくて、それはあなた「らしさ」そのものです。その個性を否定せず、むしろその「らしさ」に適した「らく」な生き方を模索していくこと。そして親はもちろん、社会全体として市民それぞれの「らしく、らく」な生き方を受け入れて応援していくこと。それらが今求められている社会の姿なのではないでしょうか。

 

 

 最後に、見延さんが言われると嬉しい言葉は「変わってるね!」だということなので、ぜひみなさんも彼女に出会ったら「変わってるね!」と言ってあげてくださいね。

 

【鯖江の古民家カフェ&教室 ラシークの情報はこちらをクリック】

 

f:id:mitsuru326w:20170924124606j:plain写真:オープン前、多くの人たちの助けを得ながら準備する古民家カフェ&教室の前