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福井のめがね産業の現状は日本経済のこれからの縮図である

経済 地域 めがね

今日は私が福井のめがね産業に携わってきて、感じることを好き放題書きます。

 

結論、主題の通り福井のめがね産業の現状は日本経済のこれからの縮図であると最近すごく思うわけです。

 

前提として福井はMade in Japan めがね枠の96.7%(H.26 福井県工業統計)を生産するめがね産地です。

 

しかし、この産地の眼鏡製造品等出荷額はピーク時(1992年・2000年)の約1200億円から2014年には約600億円弱と、半分以下にまで激減してきました。

 

この背景は、すごく簡単に言ってしまえばMade in Chinaのスーパー低価格品が世界中で台頭し、日本経済の長い長いデフレ環境下の中で当然のごとく国内では某JINSやら某zoffやらが大流行し、国内外からのJAPANめがねへの需要が減少したからです。(特にOEMがやられました。)

 

 

この現象自体は他の国内産業においてもこの15~20年ほどほとんど共通して起きてきたことかと思います。

 

 

さて、その上でここ1~2年このめがね産地で何が起こっているか。

 

実は2012年頃から、福井の眼鏡製造品等出荷額は下げ止まり2014年にかけて微増しています。

 

この要因分析は、一概に言うことは正直難しいのですが、めがね関連各社から話を聞く限りでは「高品質な日本製品」への見直し傾向が多少なりともありそうなのと、2012年から政権交代に伴い円安が進み海外輸出がしやすくなったということがありそうです。(福井・鯖江の認知度アップもあるのかもしれませんが。)

 

この要因の見立てが本当に正しいかどうかは置いておいたとしても、とりあえず福井のめがねへの需要が少なくとも一時的には多少増えているようです。

 

 

しかし、色々な産地の会社から話を聞いていても「儲かっている」「順調」というような話をほとんど聞きません。(一部にはあるようですが、総論としては。)

 

 

………なぜ?

 

 

実は「順調」という声の代わりによく聞こえてくるのが「品物があがってこない…」という声です。

 

どういうことかというと、めがねフレームは非常に多くのパーツからできているのですが、途中の工程などが簡単に言えばキャパオーバーで詰まっていて納期が非常に伸びているのです。

 

「え、昔は1200億円分も生産してたじゃん」

と思うかもしれませんが、その答えは簡単です。

 

この15~20年の厳しい状況の中で、産地の「供給能力」が衰退してしまったのです。

人(職人)、設備、工場自体が全て減少してしまったため、今注文が増加傾向になったときに「もはや生産量をこれ以上増やせない」というあまりに悲しい状況になってしまったのです。

 

ちなみに納期が伸びている原因がもう一つあり、それは書い手から求められるめがねの品質や形状がどんどん難解なものになってきており製造までに必要な期間が以前より長くなっているということのようです。(これも求められるものに対する供給能力の相対的な不足と言えるでしょう。)

 

 

 

さてさて、やっとここで主題に戻ってきますが、この「供給能力の不足」はこれから間違いなく日本の各産業において問題になってくると思います。(もうなっているところもあると思いますが。)

 

 

めがね産業に限らず、今までの長いデフレ(需要不足)の影響で価格競争に明け暮れ、日本の人や設備が最低限にまで圧縮され続け、デフレによりこれまであまり表面化してきませんでしたが供給能力が大きく傷ついています。

 

加えて、日本の人口構造上これから疑いの余地なく「人手不足」が急激に深刻化します。

 

実際、めがね産地の企業からも「人をもう少し増やしたいけど、どこにもいない」という声を聞きます。

調べたところ、福井県の現在の失業率はなんと全国で最低の1.6%だそうです、本当に雇いたくても雇える人がいない状況だったのです。(ちなみにアメリカは4.6%、スペインはなんと19%)

 

 

つまり今後日本の各産業において、現在めがね産業が足を突っ込んでいるように、もはや生産したくてもできない(需要を満たせない、活かせない)という悲しい状況になる可能性が濃厚だと思います。

 

 

 

このままでは経済・産業がそれ以上成長しません。嘆いていても何も解決しません。

 

ですので、真面目にこの大問題の解決策を考えてみます。

 

 

 

すると、結構単純な答えがとりあえず出てくるわけです。

・商品の価格を上げる

・設備などへの投資によって生産能力をあげる

 

ある意味当たり前な答えです。

 

これができれば、

価格UP → 売上UP → 給料UP(上げないとこれから絶対人が入らない!!) → … → いずれ所得不足による少子化も解消されるでしょう

 

設備投資 → 生産能力UP → 売上UP → 給料UP → … → いずれ所得不足による少子化も解消されるでしょう

 

といった具合に、皆さんにとっても日本全体にとってもハッピーな方向へ行くはずです。マクロ的にはデフレも解消されます。

 

 

 

 

しかし、どうもめがね産地の企業の話を聞いているとどうもその単純な答えを実行するのが私たちの想像以上に難しいようなのです。

 

 

価格UPについては、長い間デフレの低価格競争の中で戦ってきた習慣からか、供給能力を超える注文が入ってきても「次からは値段少し上げますね」とはなかなか言えないみたいです。

 

このブログ内なのであえて言います。値段上げますって言ってみましょうよ!

品質に見合う価格を主張しましょうよ!

 

いや、確かに私も営業をやっていた経験上それを言いづらい気持ちは非常にわかります。

そしてもちろんあまり無茶な値上げになれば顧客が他へ移るリスクもわかります。

 

それでも、特にこのめがね産地については他の製造先を探すなんていってもかなり限られているわけですから(日本でないと加工できないことも多い)、少々の値上げくらいでは多少注文が減ったとしても、むしろ値上げ分で売上が増えて、従業員からすれば今までより少し仕事に余裕ができたのに給料が上がるというハッピーという結末になるのではないかと思います。

 

他のめがね以外の産業でも、確かに値上げは他国製品などと比べて競争力が無くなる行為ですが、今後の各発展途上国の人件費高騰や輸送費などを考慮すれば、決して無茶な話ではないのではないでしょうか。

 

 

 

生産能力UPについても同様です。

設備が古い古いという声をよく聞きますけど、製造がキャパオーバーになっている部分について、設備投資しましょうよ!

生産性を上げるためのシステムなどに投資しましょうよ!!

融資を受けて投資してもし注文がまた減ったらという恐怖もわかりますけれど。

 

 

 

以上のような叫びを、めがね業界以外の各産業にも叫びたいのが本音です。

 

今まで日本全体が苦しい20年でなかなかそのような気持ちになれないのは、デフレ・不況下で育ってきてつい貯金をしてしまう私も理解できますが、

今のままだと注文が増えても従業員の負担だけ増えて、そのうちその人がやめていき、後継者も来ず、誰も幸せになれないのではないでしょうか。

 

結局上記のような「前向きな気持ち・行動」そして「前向きにさせるような国・行政の政策・制度」への転換を図っていくことががこれからのめがね業界はもとより日本全体にとって活性化のために必要なのだと思います。 

 

 

 

 

そして、自分は直接リスクを負わない私の立場から好き勝手言っているわけですが、もちろん言うだけ言って無責任に何もしないつもりはありません。

 

私の「一産業所管団体」の立場から、上記「価格UP」「生産能力UP」に繋がる施策を調査・検討・そして断固実行していくつもりです。

(もちろん、そもそも継続的なMade in Japan, 福井・鯖江のめがねへの需要獲得が前提になるので、需要側への問題の話はまたいずれ書きます。)
 

 

すでに色々と考えて実行に移すつもりのことも盛り沢山あるのですが、まだまだ調査不足や勉強不足な部分がすごくあるので、同じ方向性で何かされている方、何か事例など知っている方、ぜひ話でもしましょう。
(というか色々書きましたがまだ理解不足で間違っている点もあるかもなので、ぜひ何かあれば教えてください。)