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「君の名は。」はなぜこれだけ評判になっているのか、考察

最近巷で話題の「君の名は。」を見ました。

www.kiminona.com

 

結論としては、確かにうまくまとまっている良作だなーという感じでした。

しかしなぜここまで評判になっているのか、個人的にはストーリーというよりもむしろ描写や背景などが【都会を中心とした日本の現代社会の中で見えなくなっている何かへの回帰願望】に刺さったのだと思います。

 

まず、ストーリー自体はそんなにめちゃめちゃひねった仕掛けがあるわけではなく、結構シンプル。よく描かれる入れ替わり的な題材に、青春要素、時空間的要素を入れた話。

そのストーリーだけ単純に振り返ってみると、普通に高校生あたりが「面白い!」と思うような内容でした。(いや、もちろん普通に面白かったんですけどね!)

 

しかしストーリーそのもの以外で鑑賞中にどういう要素で自分の感情が大きく揺れ動いたかというと、それは「ド田舎の生活風景」に対してです。

先に断っておくと、私は東京生まれ東京育ち、からの大学時代に京都、そして就職で再び東京に戻り、そこから職を変えて現在は福井という(東京から見ると)田舎に暮らしています。

 

そんな基本都会にバックボーンを持つ私は、映画の中に出てくる湖や山々、神社、小さな村の中の狭い人間関係で成り立つ社会などに見とれてしまいました。ジブリ映画などにも似たようなことが言えると思いますが、こういった「どこか懐かしさを感じさせる日本の原風景」は特に都会で暮らすようになった人々の心の渇望に重なるのだと思います。

 

それは人によっては私のように都会で生まれ育った上での田舎への憧れの場合もあるでしょうし、また田舎で生まれ育った上で大学や就職で都会に出てきて暮らしている人にとっての故郷への懐かしさの場合もあると思います。この映画はどちらの場合に対しても温かい何かを見せている、だから見終わってみてジーンとした気持ちになります。

 

また、実際にこの映画は都会生活と田舎暮らしの対比そのものが描かれていて、満員電車や人が混みあう新宿のシーンなどの直後に湖や山々などの自然に恵まれた暮らしのシーンが出てきます。話の中ではヒロインが東京暮らしに憧れているように描かれていますが、実際に見ている人に抱かせるのは全く逆の印象なのです。

(もしかしたら人によっては上記シーンを見てむしろ「都会への夢、憧れ」の方を感じるのかもしれませんが、作品の描かれ方としてはやはり逆に重点が置かれていると思います。基本的に後半クライマックスに向けての話の舞台が田舎の方になることからも。)

 

加えて、ただ単なる「日本の、田舎の豊かな原風景」という要素だけでなく、この映画には日本古来からの考えである「神道」が本編に関わっています。(そもそもヒロインは神社の娘です。)

この日本的な神との関わり方の様々な描写や人として大切にしていくべき考え方などが、この映画に一層「忘れかけていた懐かしい何か」を与えている気がします。

 

 

現在の割と無批判・無思考な「グローバリズム至上主義」社会の中、やれ英語を喋れ、やれ海外へ行け、やれ日本の古い考えに捕らわれるなといった圧力の中で生きることを強いられている日本の現状だからこそ、上記のような日本の原風景、原典(大切にしてきた考え方)などを親しみやすいアニメの中でアニメらしいストーリーの上で描いた本作品が、見た人たちに深い感動を与えているのではないでしょうか。